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【代表対談】「その体験は、どこで記憶と口コミに変わるのか」— 店舗特化型プロジェクションマッピング・MIRASISONE 伊藤宗也さんに聞く
代表対談シリーズ 第1回/MIRASISONE 伊藤宗也さん × SOEL 岡崎祐樹
プロフィール
伊藤 宗也(いとう・そうや)株式会社MIRASISONE 代表取締役。高校卒業後にオーストラリアへ渡り、世界一周を経て21歳から5年間ドイツに居住。帰国後、Webマーケティング会社を経て2024年3月に創業。店舗特化型プロジェクションマッピング「ストアマッピング」を展開し、渋谷「Little Chef Whitely」のほか、マニラ・ドバイでも案件を手がける。
岡崎 祐樹(おかざき・ゆうき)SOEL株式会社 代表取締役。1990年生まれ、京都大学卒。実家は創業190年の家具屋。浪人・留年を経て、M&A先の代表として美容室6店舗を経営したのち、ゼロからSNS運用代理店を創業。飲食・ホテルを中心に1,500店舗を継続支援している。Googleマップのローカルガイド Lv.8。店舗集客・経営・AIのリアルな気づきをXで発信中(@soel_okazaki)。
店舗集客を「発見→比較→決定→体験→拡散」の5段階で見たとき、私たちSOELが施策で直接触れないのが「体験」です。口コミの質を決めているのは体験そのもの。この代表対談シリーズでは、体験を設計する側の経営者と、その設計がどこで記憶と口コミに変わるのかを話していきます。第1回は、テーブルの上に3DCGの小人シェフが現れるレストランを手がけた伊藤宗也さんです。
1. 相談の入口は「綺麗だから受けそう」— でも本当の悩みは別にある
岡崎: マッピングの相談って、最初はどういう言葉で来るんですか。
伊藤: 一番多いのは「綺麗だから受けそう」という抽象的な相談です。ただ、そこから深掘りすると出てくる課題は店ごとに全然違う。スタッフのモチベーションを上げたい、単価を上げたい、カウンター席の稼働率が悪い、集客そのもの——本当に様々です。
岡崎: ニーズとして一番多いのは。
伊藤: 「SNSでバズる集客のトリガーにしたい」ですね。実際に食べログでマッピング専用の予約コースを置いている店もあります。ただ、当初は大衆居酒屋にも幅広くアプローチしたんですが、予算面でも熱量の面でも刺さったのは「世界観とオペレーションを大切にしている高価格帯の個室店」でした。いまのメインクライアントは、1人1万円以上で、個室で、少し暗めの空間の店が中心です。
岡崎: 「映えるから」だけの導入は避けるべきだと以前おっしゃっていました。
伊藤: マッピングは総合評価の一要素でしかないんです。料理・接客・清潔感が伴わない店では効果が出ない。そこは最初にはっきり伝えます。
2. 空間全体を派手にしない。「山場」をどこに置くか

岡崎: 演出の設計は、どこから始めるんですか。
伊藤: 「一言で何をアピールするか」を決めて、そこから逆算します。目的が集客なのか、単価なのか、雰囲気なのかで設計は大きく変わる。全部を派手にするのではなくて、山場をどこに置くかです。
岡崎: 食事中ずっと映像が動いていると、逆に落ち着かないですよね。
伊藤: そうなんです。食事中は動きを抑えた「内装モード」に切り替えて、山場の前には2分間のリピート映像を流してゲストに心の準備をしてもらう。映像だけで完結させずに、スタッフのオフラインの動きと連動させて組みます。
岡崎: 導入した後の現場は、実際どうですか。
伊藤: 正直に言うと、初月はトラブル対応で現地に行くことが多いです。スタッフが電源を落としてしまったり、設定を変えてしまったり、データを消してしまったり。炎の強さを変えるような部分的なチューニングは費用内で対応して、大幅な変更は別料金にしています。
3. 「すごい」で終わる演出と、人に話したくなる演出の違い

岡崎: 渋谷のWhitelyは「広告費ゼロで予約困難」と紹介されています。何が効いたんでしょう。
伊藤: 料理メニューをもとに、小人のシェフが世界中の食を探し求めるストーリーを設計しました。「テーブルの上に小人が出てくる」——この一言で説明できることが大きかったと思います。
岡崎: 実はここ、数字で裏付けが取れています。Whitelyの口コミをGoogleマップと食べログで見ると、Googleでは212件の口コミのうち「プロジェクションマッピング」への言及が87件、「演出」が65件。食べログでは直近の口コミの9割以上が「小人シェフ」という言葉を使っている。お客さんが店を語るときの言葉が、伊藤さんが最初に決めた「一言」に揃っているんです。
伊藤: 語りたくなる要素は、結果論ではなく設計できるということだと思います。
岡崎: もう一つ、記念日・誕生日の利用が2〜3割を占めています(Googleの口コミで「記念日」29件、食べログの利用目的で約25%)。8席・完全予約制・コース1万4,000円という制約が、「特別な日に人を連れて行く店」という使われ方と噛み合っている。
伊藤: マッピングは「キラキラ・おしゃれ・夜・デート」を連想させやすい。イルミネーションと違って、映像はストーリーや感情まで伝えられる。それがリールやUGCとの相性の良さにつながっていると考えています。
4. 入れて終わりにしない — 撮られた写真はどこへ流れ、店は何を見るべきか

岡崎: 撮られた写真がどこに流れているかも見てみました。Whitelyの公式Instagramはフォロワー6,610人ですが、リールの再生は上位44本で合計約146万回、1本で25万回を超えるものもある。フォロワーの200倍以上が、フォロワーではない人に届いています。発見はSNSで起きている。
伊藤: 導入前はSNS施策までは意識していなかったんです。もともとインフルエンサー施策をやっていたクライアントにマッピングが加わって、相乗効果が出た。
岡崎: そして写真の「着地」はGoogleマップです。Googleに975枚、食べログに550枚。口コミの件数もGoogleが3倍以上。食べログ側も、今年1月から9月の8ヶ月で保存が555人から1,212人に、写真が154枚から550枚に増えている一方で、点数はほとんど動いていない。SNSで見つけて、マップで確かめて、来店して、またマップに書く。この循環が回っているかどうかは、店の側からは意外と見えていない。
伊藤: そこは正直、把握できていませんでした。導入後に口コミ件数や予約率がどう変わったかを、ファクトとして追えていない。成果が出る店と出ない店の差も、社内で言語化できていなかった。
岡崎: 今回、そこを一緒に見ていくことにしました。Googleマップ・SNS・予約媒体の指標を店ごとに数値化するツール(みせカルテ)に、マッピング導入前後のデータを載せて、何が変わったかを見える形にする。伊藤さんの側は大阪でマッピングレストランをオープンして関西にも進出されるので、そちらでも連携していきます。
伊藤: 体験を作った後の数字を見る仕組みがあれば、次の設計が変わります。楽しみにしています。
※本文中の口コミ件数・写真枚数・フォロワー数・再生数は2026年9月時点の公開情報です。
企業概要
株式会社MIRASISONE(ミラシスワン)
- 代表取締役: 伊藤 宗也/設立: 2024年3月14日/所在地: 東京都文京区
- 事業: 店舗特化型プロジェクションマッピング「ストアマッピング」の企画・映像制作・空間演出の設計施工。屋内特化。マニラ・ドバイで展開、2026年9月に大阪でマッピングレストランをオープンし、関西へ進出
- 公式サイト: https://www.mirasisone.com/
Little Chef Whitely(渋谷区神南)2024年2月開業・8席・完全予約制・《小人シェフコース》7品 ¥14,000(税込)
写真: Little Chef Whitely 公式サイト・紹介映像より(株式会社MIRASISONE提供)