「12月は飲食の“勝ち確シーズン”」
……のはずなのに、今年は現場からこんな声が多く聞こえました。

  • 予約が思ったほど伸びない
  • 大箱の宴会が決まりにくい
  • 週末は強いのに平日が弱い
  • 売上は悪くないのに“客数感”が薄い

結論から言うと、今年の繁忙期は“忙しさの質”が例年と違った。
そして、この違和感はデータでも説明がつきます。

理由①:企業の忘・新年会が「微減」していた

東京商工リサーチの調査では、2025年忘年会〜2026年新年会を「実施する」企業は57.8%。前年(59.6%)から減少し、コロナ禍後で初めて“減少に転じた”整理です。さらに「実施しない理由」で費用削減(21.7%)が初めて2割超えになっている点も見逃せません。

つまり、宴会の“総量”が少しだけ減っている。
この「少しだけ」が、宴会依存度の高いお店ほど大きく響く年でした。

理由②:「売上は保つのに客数は弱い」が起きやすかった

外食全体としては、客単価の上昇が売上を下支えする構図が強まっています。日本フードサービス協会の月次レポートでも、節約志向に触れつつ、客単価上昇や低価格業態の堅調などが売上を支えるニュアンスが示されています。

また、業態別でも「客数が前年割れでも、客単価上昇で売上は維持」という現象が確認されます(例:ファミリーレストラン領域の記載など)。

ここから現場で起きるのが、よく聞いたこの状態です。

席が埋まり切ってないのに、数字は死んでない
→ だから「繁忙期っぽさが薄い」「客数感がない」

理由③:物価高で「宴会のノリ」が完全復活し切らなかった

宴会がゼロになるというより、規模・回数・単価の“調整”が入りやすかった年、というのが実態に近いです。
費用削減を理由に実施しない企業が増えた、というデータとも整合します。()

理由④:マクロでも消費が一段弱かった

総務省の家計調査(2025年10月)では、二人以上世帯の消費支出が実質で前年同月比-3.0%と報じられています。繁忙期の勢いは、こういう空気の影響を普通に受けます。()

じゃあ今年、勝った店がやっていたこと

今年の繁忙期は「待てば埋まる」より、“設計して取り切る”が強かった。
勝ち筋は大きく3つです。

1)大箱より「小〜中団体」を取り切る設計

狙い目は 6〜10名/11〜20名のレンジ。
ここを取り切れる店ほど、強かった印象です。

  • 少人数向けのコース名・内容に寄せる(幹事が選びやすい言葉にする)
  • 個室・席レイアウトの見せ方を整える(写真・説明・導線)
  • 幹事が不安なポイントを先回りで潰す
    • 領収書
    • 人数変更
    • 遅刻/開始時間の相談
    • キャンセル規定の明文化

“団体を増やす”ではなく、「取り切れる団体」を増やすのがポイントでした。

2)値上げは「説明の厚み」で勝つ

単価が上がっても納得される店は、体験価値を言語化できています。

  • ライブ感/希少性/ストーリー(仕入れ・炭・焼き・職人性)
  • 限定特典/乾杯演出/記念日対応(幹事の“安心材料”を増やす)
  • 個室・照明・滞在設計(2時間の満足度を上げる“理由”を伝える)

「高いか安いか」ではなく、“その価格の理由が伝わるか”が差になります。

3)平日の穴は“別商品”で埋める

週末偏重になりやすい年だったからこそ、平日は同じ売り方をしない。

  • 月〜木限定の「軽め忘年会」(量・価格・時間を最適化)
  • 早割/遅割(17時台 or 21時以降の明文化)
  • 2部制・3部制(「何時に何を売るか」を決め切る)

平日は「宴会を待つ」より、平日に刺さる商品を作るほうが勝率が上がりました。

今年の繁忙期は「二極化」。勝ち筋は“相手と人数帯の絞り込み”

今年の「違かった」は、

  • 宴会総量の微減()
  • 単価上昇で売上を支える構図()
  • 物価高による調整
  • 消費の弱さ()

で説明できます。
だからこそ、来年に向けてはこう考えるのが現実的です。

「売るべき相手」と「取り切る人数帯」を絞った店が勝つ。
12月が“勝ち確”ではなくなった今、勝ち方は“設計”で作る時代です。

SOEL株式会社は、飲食店の集客を“設計”から支援します

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